日産自動車株式会社は3月4日(土)、高齢ドライバーの安全走行を促進・啓発する『ハンドルぐるぐる体操』の体験会を東京都銀座にある『NISSAN CROSSING』にて実施しました。
『ハンドルぐるぐる体操』の体験会については、昨年3月にメタバース上のソーシャルVRサービス『VRChat』内に同社が展開するバーチャルギャラリー『NISSAN CROSSING』で実施しており、多くのVRユーザーが参加して大盛況だったもの。
今回は、初の試みとして現実世界の東京都銀座にある『NISSAN CROSSING』とメタバース上のバーチャルギャラリー『NISSAN CROSSING』を繋いでの同時開催するということで、私は現実世界の会場にお邪魔させていただきました。
※本記事の内容、及び画像・映像等はリアルとメタバースをつなぐ「ハンドルぐるぐる体操体験会」のご案内を通じて日産自動車株式会社よりプレスリリースとして正規に提供されたもの、並びに許諾の元に取材・撮影されたものです。
※画像・映像、その他の著作物の転載はご遠慮ください。
『ハンドルぐるぐる体操』とは
今回体験会が行われた『ハンドルぐるぐる体操』とは、日産自動車が新潟大学の村山准教授と共に2018年から実施している共同プロジェクト「安全な未来を目指す交通安全プロジェクト『トリトン・セーフティ・イニシアティブ』」の活動の一環として主に高齢ドライバーの運動能力の維持や認知力の向上を目的に考案されたエクササイズです。
血流を良くする「リフレッシュ」、少しハードな「筋力アップ」、脳を刺激する「認知力アップ」の3つの要素と、3秒間4カウントで完結する覚えやすいリズミカルな動きの繰り返しで構成され、車の運転前やちょっとした隙間時間にいつでもどこでもできるように考えられているとのこと。
ハンドルを模した輪っかを持って行うことで腕の引きつけや引き上げ、伸びなどの動作に適度な負荷と動きの補助が加わるというのもよく考えられた体操だと思います。
もちろん、ハンドル(輪っか)が無くても行えますし、十分な効果が見込めるとのことです。
どのような体操なのかは Youtube に公開されている公式動画でご覧になれます。
リアル銀座のモニタに映るバーチャル銀座という不思議体験
▲ 銀座にいながらバーチャルの銀座の様子を眺めるという不思議な体験
体験会が始まると現実世界の銀座『NISSAN CROSSING』2階(以下リアル会場とします)のモニタにバーチャルギャラリー『NISSAN CROSSING』(以下VR会場とします)の様子が映し出されました。
そもそも、現実世界の『NISSAN CROSSING』を忠実に再現しているので、会場の様子はこちら側とほぼ同じです。その中にVRユーザの方々がそれぞれのアバターで参加して、動いている、声も聞こえる...。
まるで鏡を見ているようでもあり、でも、動物を模したキャラクターやアニメに出てきそうな美少女もいて、何かファンタジーの世界と中継を繋いでいるような不思議な感覚がありました。
普段VR上で見慣れている様子なのに、少し離れて現実世界から見ているだけでこんなにも不思議な感覚になるんだという新たな発見がありました。
お子様も大喜び
▲ ケモノ系のキャラクターはお子様の食い付きが良い
銀座で行われた今回のイベントには、休日ということもあって小さなお子様を連れたご家族も何組かいらっしゃいました。そんな未来のドライバーも画面の向こうからカソウ舞踏団の方々が演じる動物のキャラクターが語りかけてくると大喜び。
可愛い仕草で一生懸命に『ハンドルグルグ体操』に挑戦してくれていました。
これもまたVRと繋がっているおかげというか、キャラクターショーのような効果があって、お子様も気軽に参加できるイベントになっていたのが素晴らしいですね。
VR主導で体操体験
▲ VR会場でのカソウ舞踏団の方々のお手本を見ながらリアルとバーチャルの参加者が同時に体操
VR会場に登場したカソウ舞踏団の方々のお手本を見ながらVR会場に参加している方々もリアル会場の方々も一緒に体操に励みます。
カソウ舞踏団は普段からメタバース空間でのダンスパフォーマンスや演劇活動をしている方々なのでこの程度の運動は軽いものという感じですが、私を含めコロナ禍で運動不足になっている人たちには簡単そうに見えて意外といい運動になります。
やってる最中に「あ、これは効いているな」と感じられる程度の負荷があるのです。
現実世界からVR空間へ
▲ リアル会場の様子をモニタで確認するVR会場の方々
折角リアルとVRが繋がっているのでこちらの様子もVRの方々に見ていただきたいところです。
残念ながら、今回は通信環境などの問題で双方向の同時配信はリスクがあるということで、全部で3回行なった体操の1回目の様子を録画して2回目の体操中にアップロードした動画をVR会場で流すという形でVR側にお届け。
リアルタイムではないものの、タイムラグがもの凄くある衛星中継のような感じで現実世界の様子が流れるとVR側から「わあ、本当に繋がってるー」「ちっちゃい子が頑張ってる。かわいいー」といった嬉しそうな声が聞こえてきました。
あとからVR会場に参加していた方に伺ったところ、VR側でもリアル会場の映像が流れた瞬間不思議な気持ちになったそうです。
そして、現実世界の人たちと一緒にやっているということが実感できてすごく感動したとおっしゃっていました。
▲ リアル会場からVR会場に登場した日産自動車・広報部の鵜飼さん
そして、イベントの終盤ではリアル会場にいた日産自動車・広報部の鵜飼さんがVR会場へ移動してご挨拶するというパフォーマンスでモニタに映る映像がリアルタイムのVR内の様子であることをアピール。
▲ その様子をリアル会場から見るとこんな感じに
お子様がきょとんとしていたのが印象的でした。
それはそうですよね、目の前にいるお姉さんが何か被ってゴニョゴニョしたら目の前のモニタにいままで居なかったお姉さんキャラが登場して、(数秒のタイムラグはあるけど)目の前のお姉さんの動きと声がモニタから流れてくるなんて状況は今まで経験したしたことないですよね。
私もVR内でのコミニュケーションはしていても、リアルの挙動とVRでの挙動を並べて見ることはなかったので興味深い体験になりました。
その先の可能性
▲ 鵜飼さんと合流したVR会場の皆さんがリアル会場の皆さんにご挨拶
AR(拡張現実)では現実の風景に融合するように仮想のモノや人が現れますが、今回のイベントでは仮想は仮想のままでも現実世界とを繋ぐほんの小さな窓さえあればお互いを感じることができて、一体感が生まれるということを知ることができました。
ARやVRだとそれ専用の機材が必要になりますが、今回のようにモニタという小窓を通して繋がるのであれば現実世界の参加者にはそうした機材も不要で、より気軽にVRとは何か、メタバースとは何か、といった部分を未体験の人たちにも知ってもらうきっかけになるのではないでしょうか。
現時点でも VTuber さんたちの活動がこれに近いですがライブ配信などはレスポンスは返せてもいわゆる一方向で、今回のように一般のVRユーザーと一般の非VRユーザーの接点を持つような企画はあまりないようにも思います。
▲ VR会場参加者およびスタッフの皆さん
また、よく言われることですがメタバースは物理的な距離による障壁がありません。現に今回VR会場に集まった方々は日本各地から(もしかすると海外からも?)参加されています。
その方々がVR上の銀座に集まって、リアルの銀座と繋がって、リアルの銀座に居る人たちと同じイベントを楽しんだわけで、どちらも同じ銀座に居たわけです。
もちろん、リアル銀座に居た方々も楽しんでいました。
物理的な距離を飛び越えてリアルの人々とも繋がれるという新たな可能性を感じます。
別の方法も含めて、こうしたメタバースとリアルの行き来がこれからもっと盛んになってくるのではないでしょうか。
日産自動車・広報部の鵜飼さんは、今回の試みは実験的で蓋を開けてみるまでどうなるか分からない部分もあったと言います。
VR側もリアル側も喜んでいただけてイベント自体は成功しましたが、通信環境の制約から録画した映像をその場で編集してアップロードするといった綱渡りな部分もあったり、リアル銀座側の進行方向など改善点も多く見つかったとも話されてました。
色々な意味で日産自動車としても収穫のあったイベントだったようです。
いち早くメタバースやVRの活用に着目して素晴らしい企画を次々に実現している日産さんのことですから、これらのフィードバックを受けて、また新たな形を見せてくれるのではないかと期待が膨らみます。
今後の日産のメタバース戦略からもますます目が離せないですね。
ということで、最後にこの言葉で締めくくりたいと思います。
やっちゃえ日産!メタっちゃえ日産!
- イベント協力クリエイター・スタッフ一覧(順不同・敬称略)